新しい命を授かって、喜びや幸せを感じる日々。一方で、妊娠中は体の変化やつわり、仕事のこと、出産や育児への不安など、これまでとは違う様々な環境の変化によって、ストレスを感じやすい時期でもありますよね。
「なんかイライラするな…」「ちょっとしたことで落ち込んじゃう…」。そんな自分の状態に気づいた時、「このストレス、お腹の赤ちゃんに悪い影響を与えないかな?」と心配になってしまう妊婦さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、妊婦さんが感じるストレスが、お腹の赤ちゃんにどのような影響を与える可能性があるのか、そして、ストレスとどう向き合えば良いのかについてお話ししたいと思います。
妊娠中のストレス、どんなものがある?
妊娠中にストレスを感じる原因は、本当に様々です。
- つわりや体の痛み、思うように動けないことへのもどかしさ
- ホルモンバランスの変化による気分の波や情緒不安定
- 初めてのことだらけの出産や育児に対する漠然とした不安
- パートナーや家族との関係性の変化
- 仕事と妊娠・育児の両立、休業や復帰に関する悩み
- 周囲からの「善意」のアドバイスがプレッシャーに感じてしまう
- 体重管理や食事制限など、思うようにいかないこと
など、これまで経験したことのないようなストレスを感じることがあります。
ママのストレスは、赤ちゃんにどう伝わるの?(可能性)
ママがストレスを感じると、私たちの体の中では、コルチゾールといった「ストレスホルモン」が分泌されます。このストレスホルモンが、胎盤を通して赤ちゃんに届く可能性があることが分かっています。
これまでの研究で、ママが妊娠中に長期間にわたる非常に強いストレスを感じていた場合、生まれてくる赤ちゃんの脳の発達や、将来的な心身の健康に影響を与える可能性が示唆されています。 例えば、出生後の赤ちゃんの気質や、将来のストレスへの反応性などに関連が見られるといった研究報告があります。(※ただし、これらの研究は「関連性」を示唆するものが多く、「ストレスが直接的な原因となって必ず〇〇になる」という因果関係を断定するものではありません。)
重要なのは、これは「一時的なストレス」ではなく、「長期間にわたる、非常に強いストレス」の場合に懸念される可能性であるということです。日常生活で感じる程度のストレスであれば、過度に心配する必要はありません。
過度に心配しすぎないで!大切なのは「溜め込まないこと」
「ストレスを感じると赤ちゃんに影響があるんだ…」と知って、さらにストレスを感じてしまった方もいるかもしれません。
でも、考えてみてください。妊娠期間中に、ストレスを全く感じずに過ごすというのは、現実的になかなか難しいことです。適度なストレスは、誰にでもありますし、それが全て赤ちゃんに悪い影響を与えるわけではありません。
大切なのは、「ストレスをゼロにすること」ではなく、ストレスを「溜め込みすぎないこと」、そして「上手に発散すること」です。ストレスを感じること自体をストレスに感じてしまうと、悪循環になってしまいます。
妊婦さんがストレスと上手に付き合うための方法
では、妊娠中にストレスとどう向き合い、上手に付き合っていけば良いのでしょうか。
- 休息をしっかり取る: 疲れている時は、無理せず横になって休みましょう。質の良い睡眠時間を確保することも大切です。
- バランスの取れた食事: 体調を整えることは、心の安定にも繋がります。特定の食品に偏らず、様々な栄養素を摂りましょう。
- 適度な運動: 医師から許可されている範囲で、ウォーキングやマタニティヨガなど、心地よく体を動かすことは、気分転換になり、ストレス解消にも効果的です。
- リラックスできる時間を作る: 好きな音楽を聴く、読書をする、アロマの香りでリラックスする、ぬるめのお湯にゆっくり浸かるなど、あなたがホッとできる時間を作りましょう。
- 誰かに話を聞いてもらう: パートナー、家族、友人など、信頼できる人に今の気持ちを話してみましょう。話すだけでも、心が軽くなることがあります。
- 完璧を目指さない: 完璧な妊婦さん、完璧な母親を目指しすぎなくて大丈夫です。できないことがあっても、「まあいいか」と受け流すことも大切です。
- 情報に振り回されない: インターネット上には様々な情報がありますが、不安を煽る情報からは距離を置き、信頼できる情報源(医師、助産師など)を参考にしましょう。
- 専門家を頼る: どうしても辛い時、気持ちが落ち込んでしまう時は、一人で抱え込まず、医師や助産師、必要であれば心理カウンセラーなどの専門家に相談することも考えてみてください。
パートナーのサポートも大切
ママ一人がストレスを抱え込むのではなく、パートナーにも積極的に協力してもらいましょう。家事を分担したり、ママの気持ちに寄り添って話を聞いてあげたり、一緒にリラックスできる時間を作ったりと、パートナーのサポートは、妊婦さんのストレス軽減に大きな力となります。
最後に
妊娠中のストレスが、長期間にわたり過度なものである場合、赤ちゃんに影響する可能性が示唆されています。しかし、日常生活で感じる一時的なストレスであれば、過度に心配しすぎる必要はありません。
大切なのは、「ストレスを溜め込まないこと」「上手に発散すること」、そして「休息をしっかり取ること」です。
一人で抱え込まず、周りのサポートも借りながら、あなた自身の心と体を大切にしてくださいね。
心穏やかに、そして安心して、赤ちゃんとの対面を楽しみに過ごせるよう、心から応援しています!