妊婦さんが「辛いもの」を食べたら赤ちゃんに影響する?悩んだ疑問を解決!

妊娠中の食事については、さまざまな情報があって何を食べても大丈夫なのか、避けるべきものは何か、悩ましいことが多いですよね。特に「辛いもの」については、「赤ちゃんに刺激が伝わるんじゃないか」「何か悪影響があったらどうしよう」と心配になる妊婦さんも少なくありません。

妊娠前は辛いものが得意ではなかったのに、妊娠してから無性に食べたくなった、という体験談もよく聞かれます。今回は、妊婦さんが辛いものを食べることで、本当にお腹の赤ちゃんに影響があるのかどうかについて、詳しく解説していきます。

 

 

結論から言うと…赤ちゃんへの「直接的な害」はほぼ心配なし!

まず、最も心配されている「妊婦さんが辛いものを食べたからといって、それが直接赤ちゃんに害を与えることはあるのか?」という疑問に対する結論です。

結論:多くの研究や専門家の見解に基づくと、妊婦さんが辛いものを適量食べることで、それが直接お腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性は極めて低いと考えられています。

なぜかというと、辛さを感じるメカニズムに理由があります。唐辛子などに含まれる辛味成分である「カプサイシン」は、口の中や胃腸にある痛覚や温覚に関わる受容体を刺激することで、「辛い!」「熱い!」という感覚を引き起こします。この刺激は、あくまでお母さんの消化器系で起こっていることであり、カプサイシンがそのまま血液に乗って胎盤を通過し、赤ちゃんの体に痛みや不快感として伝わるわけではないからです。

 

お腹の赤ちゃんはママの食べたものの「味」を感じる?

「でも、ママが食べたものの味が羊水にうつって、赤ちゃんがそれを感じ取るって聞いたけど?」と思った方もいるかもしれません。

確かに、ママが食べたものの風味成分(例:ニンニク、カレー粉、バニラなど)は、消化吸収されて血液を通して胎盤に運ばれ、羊水に移行することがわかっています。赤ちゃんは羊水を飲むことで、ママの食生活から様々な味や香りを経験していると言われています。これは、生まれてからの味の好みに影響を与える可能性も示唆されており、決して悪いことではありません。

しかし、ここが重要なポイントです。羊水に移行するのはあくまで「風味」の成分であり、カプサイシンが持つ「辛い」という刺激(痛みや灼熱感)そのものが赤ちゃんに伝わるわけではありません。ママが辛いものを食べても、赤ちゃんが「うわ、辛い!」と感じることはないのです。

 

じゃあ、なぜ「控えた方が良い」と言われることもあるの?~主に「ママの体調」が問題~

赤ちゃんに直接的な害がないなら、なぜ「妊婦は辛いものを控えた方が良い」と言われることがあるのでしょうか。それは、辛いものが妊婦さん自身の体調に影響を与える可能性があるためです。

妊娠中はホルモンの影響で胃腸の動きが鈍くなったり、胃酸が逆流しやすくなったりと、消化器系のトラブルが起こりやすい時期です。そんな時に辛いものを食べると、以下のような不調を引き起こしたり、悪化させたりすることがあります。

  • 胸焼け(ハートバーン):辛いものによって胃酸の分泌が促されたり、食道への逆流が起こりやすくなったりします。
  • 胃もたれや胃痛:胃腸への刺激によって、不快な症状が出ることがあります。
  • 吐き気や嘔吐:つわりがある時期は、辛いものの刺激で吐き気や嘔吐が悪化する可能性があります。
  • 下痢:辛いものが胃腸を刺激し、お腹がゆるくなったり、下痢を引き起こしたりすることがあります。

もし辛いものを食べたことでママの体調がひどく崩れてしまうと、食欲がなくなって必要な栄養が十分に摂れなくなったり、体が疲れてしまったりと、それが間接的に赤ちゃんへの栄養供給やママ自身の心身の健康に影響を与える可能性はゼロではありません。したがって、「辛いもの自体が赤ちゃんに悪い」というよりは、「辛いものを食べてママの体調が悪くなることで、間接的に影響が出るかもしれない」という点を考慮して、無理はしない方が良い、と言われることが多いのです。

 

辛いものを食べると陣痛が来るって本当?~これは科学的根拠のない俗説です~

妊娠後期になると、「焼肉や辛いものを食べると陣痛が来る」という話を耳にすることがあります。しかし、これは科学的な根拠に基づいた話ではなく、いわゆる「俗説」です。

なぜこのような話が広まったのかは定かではありませんが、辛いものを食べた後に胃腸の動きが活発になることを陣痛に繋げて考えたり、予定日を超過した妊婦さんが何かきっかけが欲しくて試したりした経験が語り継がれたりしたのかもしれません。しかし、現時点では、辛いものが陣痛を誘発するという医学的な証拠は認められていませんので、過度に期待したり、逆に不安になったりする必要はありません。

 

 

妊婦さんが辛いものを楽しむには?ポイントは「ほどほどに」

辛いものが無性に食べたい!という気持ちや、元々辛いものが大好きだったという気持ちを、妊娠中だからといって完全に我慢する必要はありません。以下のポイントに注意すれば、上手に楽しむことができます。

  • 「量を控えめに」:大盛り唐辛子、激辛料理に挑戦!ではなく、少量の香辛料を使う、控えめな辛さのものを選ぶなど、少量だけ楽しむようにしましょう。
  • 「体調と相談しながら」:その日の体調をよく見て、胃がムカムカしたり、つわりがひどかったりする時は避けるのが賢明です。食べた後、胸焼けや胃痛がしないかなど、自分の体の反応を観察しましょう。
  • 「水分をしっかり摂る」:辛いものを食べると汗をかいたり、消化で水分を使ったりします。意識して水やお茶(カフェインの入っていないもの)を多めに飲むようにしましょう。
  • 「バランスの取れた食事の中で」:辛いものばかりを偏って食べるのではなく、他の栄養もバランス良く摂ることを忘れずに。

 

まとめ

いかがでしたか?

妊婦さんが辛いものを食べても、それが直接お腹の赤ちゃんに害を与える心配はほとんどありません。辛さはママの胃腸で感じられるものであり、赤ちゃんに痛みとして伝わるわけではないからです。

ただし、辛いものが原因でママが胸焼けや胃痛、下痢などの体調不良になってしまうと、それが間接的に影響する可能性はあります。したがって、一番大切なのは「お母さん自身の体がどう感じるか」です。無理はせず、ご自身の体と相談しながら「ほどほどに」辛いものを楽しんでくださいね。

もし辛いものを食べた後でひどい消化器症状が続く場合や、食事について何か心配なことがある場合は、遠慮なくかかりつけの医師や助産師さんに相談してくださいね。