妊婦さんが知っておきたい!食事で気をつけたい「成分」と「ポイント」を徹底解説

妊娠中の食事は、お腹の赤ちゃんの健やかな成長をサポートするための大切な要素です。バランスの取れた食事を心がけることが基本ですが、「これって食べても大丈夫かな?」「この成分は避けた方が良いのかな?」と、疑問に思うこともありますよね。

ほとんどの食品は適量を守れば問題ありませんが、中には妊娠中に量を控えたり、注意が必要な成分や食品があります。今回は、妊婦さんが特に知っておきたい食事で気をつけたい「成分」や「ポイント」について、その理由と併せて詳しく解説します。

 

積極的に「控えたい」成分・もの

カフェイン

コーヒー、紅茶、緑茶、烏龍茶、エナジードリンク、コーラ、チョコレートなどに含まれます。カフェインは胎盤を通過し、赤ちゃんの心拍数増加や発育に影響を与える可能性が指摘されています。高用量の摂取は流産や低体重児のリスクを高める可能性もあります。日本の明確な基準はありませんが、海外では1日のカフェイン摂取量を200mg以下に推奨している国が多くあります。摂取量を意識し、控えめにしましょう。

 

アルコール

妊娠中のアルコール摂取は、少量であっても赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があります。アルコールは胎盤を通過し、赤ちゃんの脳の発達を妨げたり、顔貌の特徴、成長障害などを引き起こす「胎児性アルコール症候群(FASD)」の原因となります。「これくらいなら大丈夫」という安全な量はなく、妊娠中の飲酒は控えることが強く推奨されます。

 

特定のビタミンA(レチノイド)の過剰摂取

ビタミンAには、植物性のβ-カロテンと動物性のレチノイドがあります。通常、ビタミンAは胎児の発育に必要な栄養素ですが、動物性のレチノイドを妊娠初期に「過剰摂取」すると、赤ちゃんの形態異常(奇形)のリスクを高める可能性が指摘されています。

特に注意が必要な食品は、レバー(牛、豚、鶏)、うなぎ(特に肝)、そして妊娠用ではない高用量のビタミンAを含むサプリメントです。これらの食品は、妊娠初期には食べる頻度や量に注意が必要です。一方、人参やほうれん草などに含まれるβ-カロテンは、体内で必要な分だけビタミンAに変換されるため、過剰摂取の心配がなく、積極的に摂って問題ありません。

 

水銀

一部の魚に含まれる水銀は、胎盤を通じて赤ちゃんに蓄積し、特に神経系の発達に影響を及ぼす可能性があります。全ての魚が危険なわけではなく、注意が必要なのは水銀濃度が高いとされる特定の大型魚です。

厚生労働省は、妊婦さんがキンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロ、エッチュウバイガイ、ツチクジラ、コビレゴンドウなどを食べる頻度と量について目安を示しています(例えば、クロマグロやメバチマグロ(本マグロ、メバチ)の刺身なら1週間に1回約80gまで)。イワシ、サバ、アジ、タイ、カツオ、サケ、エビ、イカなどは水銀濃度が比較的低いため、バランス良く食べることができます。食べる魚の種類と量に注意しましょう。

 

「食中毒のリスク」に注意が必要なもの(原因菌・寄生虫)

妊娠中は免疫力が低下しやすいため、食中毒にかかるリスクが高まります。食中毒は妊婦さん自身だけでなく、お腹の赤ちゃんにも重篤な影響を与える可能性もあるため、予防が非常に重要です。

 

特に注意が必要な原因菌・寄生虫と食品例

  • リステリア菌:生ハム、スモークサーモン、ナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)、未殺菌乳製品、生や加熱不十分な肉・魚、洗っていない野菜・果物など。
    →妊婦さんが感染すると、流産、死産、早産、新生児感染のリスク。
  • トキソプラズマ原虫:生や加熱不十分な肉(特に豚肉、羊肉)、猫の糞(ガーデニングなど)、洗っていない野菜・果物など。
    →妊娠中に初めて感染すると、赤ちゃんに脳や目の障害を引き起こす可能性。
  • その他(O157、サルモネラ菌、ノロウイルスなど):生肉、加熱不十分な肉、生卵、生牡蠣などの二枚貝、洗っていない野菜など。
    →妊婦さん自身の重篤な体調不良、赤ちゃんへの影響の可能性も。

予防のポイント:食品は中心部までしっかり加熱する(特に肉や魚)、手洗いを徹底する(調理前後、食事前、トイレ後など)、野菜や果物はよく洗う未殺菌の食品は避ける賞味期限・消費期限を守る

 

「摂りすぎに注意したい」成分・もの

塩分

加工食品、麺類、汁物、漬物、スナック菓子などに多く含まれます。塩分の摂りすぎは、体内の水分バランスを崩し、むくみを悪化させたり、妊娠高血圧症候群のリスクを高めたりする可能性があります。薄味を心がけ、外食や市販品の利用時には塩分量に注意しましょう。

 

糖分・脂質および過剰なカロリー

スイーツ、清涼飲料水、揚げ物、ファストフードなどに多く含まれます。これらの摂りすぎは、妊娠中の過度な体重増加につながり、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、巨大児、難産などのリスクを高める可能性があります。バランスの取れた食事を基本に、スイーツや脂っこいものは適量を楽しむ程度に留めましょう。

 

賢く乗り切るための食事のポイント

妊娠中の食事で心がけたいこと

  • バランスの取れた食事:特定の食品に偏らず、様々な食品から主食、主菜、副菜をバランス良く摂る。
  • 食品は十分に加熱する:特に肉や魚、卵は中心部までしっかり火を通す。
  • 手洗いと調理器具の洗浄:調理前後の手洗い、生肉や生魚を扱った後のまな板や包丁の洗浄を徹底する。
  • 野菜や果物はよく洗う:土などがついている可能性のあるものは、食べる前によく流水で洗う。
  • 賞味期限や消費期限を守る:特に冷蔵や冷凍が必要な食品は注意。
  • 不安な時は専門家に相談:食事について疑問や不安なことがあれば、自己判断せず、医師、助産師、管理栄養士などの専門家に相談する。

 

 

 

まとめ

妊娠中は、お母さんの体調を整え、お腹の赤ちゃんが健やかに成長するために、食事で少し気をつけたい成分や注意点があります。今回ご紹介したカフェイン、アルコール、特定のビタミンAの過剰摂取、食中毒のリスク、塩分や糖分の摂りすぎなどに気をつけることで、より安心して妊娠期間を過ごすことができます。

ただし、神経質になりすぎる必要はありません。完璧を目指すのではなく、「こういうリスクがあるんだな」「こういう点に気をつけよう」と知識として知っておくことが大切です。今回ご紹介したポイントを参考に、バランスの取れた食事を心がけ、無理なく、楽しいマタニティライフを送ってくださいね。

もし食事について、特に気になることや不安なことがある場合は、一人で悩まず、必ずかかりつけの医療者(医師、助産師、管理栄養士)に相談しましょう。専門家からのアドバイスが、何よりも安心に繋がります。