妊婦さん、うなぎは食べても大丈夫?気になるビタミンAと水銀について解説!安全な楽しみ方

香ばしいタレの香りとふっくらとした身がたまらない、夏の土用丑の日などで大人気のうなぎ。スタミナ満点なイメージもあり、無性に食べたくなる時もありますよね。「うなぎって栄養豊富だけど、妊婦さんが食べても大丈夫なのかな?」「何か気をつけなきゃいけない成分は入っているのかな?」と疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、妊婦さんがうなぎを食べる際に注意したい点と、気になる成分について詳しくお話しします。うなぎを安全に楽しむためのポイントを知って、賢く付き合っていきましょう。

 

 

うなぎは栄養満点!でも…妊婦さんは注意したい成分

うなぎは、良質なタンパク質、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、DHAやEPAなどの必須脂肪酸、ミネラル(鉄、亜鉛など)など、非常に多くの栄養素をバランス良く含む、まさに「栄養の宝庫」と言える食品です。

疲労回復や夏バテ防止にも効果的とされ、積極的に摂りたい食品の一つに思えますが、妊婦さんが食べる際には、特に注意したい成分が2つあります。

 

注意成分その1:ビタミンA(特に動物性のレチノイド)の過剰摂取

ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康を保ったり、視覚機能を正常に保ったりするために必要なビタミンですが、過剰に摂取すると体に悪影響を及ぼす可能性があります。

ビタミンAには、主に植物性の食品に含まれる「β-カロテン」と、動物性の食品に含まれる「レチノイド」の2種類があります。β-カロテンは体内で必要な量だけビタミンAに変換されるため、摂りすぎても過剰症の心配はほとんどありません。

しかし、動物性のレチノイドは、体内でそのままビタミンAとして働くため、大量に摂りすぎると過剰症になるリスクがあります。特に、妊娠初期にこの動物性ビタミンA(レチノイド)を「極めて大量に」摂取すると、赤ちゃんの形態異常(奇形)のリスクを高める可能性が指摘されています。

そして、うなぎは、この動物性ビタミンA(レチノイド)が非常に豊富に含まれている食品の一つです。特に、うなぎの「肝(きも)」には、他の部位と比較にならないほど大量のビタミンAが含まれています。

厚生労働省は、妊娠3ヶ月以内の妊婦さんや妊娠を希望する女性に対し、ビタミンAを多く含む食品(レバーなど)の食べすぎに注意するよう呼びかけています。

 

注意成分その2:水銀

魚介類に含まれる水銀は、食物連鎖を通じて大型の魚ほど濃度が高くなる傾向があります。過剰な水銀摂取は、胎盤を通じて赤ちゃんに移行し、特に神経系の発達に影響を与える可能性が指摘されています。

うなぎも魚類であるため水銀を含んでいます。ただし、一般的に水銀濃度が高いとされるキンメダイやメカジキ、マグロ(特に大型の本マグロ)などの大型の肉食魚に比べると、うなぎに含まれる水銀量は比較的低いレベルである場合が多いとされています(ただし、産地や養殖か天然かなどによって差がある可能性はあります)。

しかし、水銀のリスク管理という観点からも、特定の魚を大量に、または頻繁に食べることは避けた方が望ましいと考えられています。

 

じゃあ、妊婦さんはうなぎを「全く食べられない」の?安全な楽しみ方

ビタミンAや水銀のリスクを聞くと、「うなぎはもう食べられないの!?」と不安になるかもしれません。しかし、心配しすぎる必要はありません。結論として、妊婦さんも「量と頻度を控えめに」すれば、うなぎを楽しむことができます。

重要なのは、あくまで「過剰摂取」を避けることです。以下のポイントを守れば、リスクを抑えてうなぎを美味しく食べることができるでしょう。

 

 

安全にうなぎを楽しむためのポイント

  • 食べる量と頻度を控えめに:うなぎ単体での妊婦さんのための明確な推奨摂取量は定められていませんが、他の食品からのビタミンA摂取や、魚介類からの水銀摂取量との兼ね合いも考慮し、例えば「月に1~2回程度、市販の蒲焼き一切れ分(約100g程度)を食べる」といった控えめな量に留めるのが無難と考えられます。(これはあくまで目安であり、全体の食事バランスによります。不安な場合はかかりつけ医に相談しましょう。)
  • 「うなぎの肝」は避ける:うなぎの肝には、体の部位の中でも極めて多量のビタミンAが含まれています。妊娠中は、うなぎの蒲焼きや白焼きの身の部分を楽しむようにし、うなぎの肝を使った料理(肝吸いなど)は避けることを強くおすすめします。
  • バランスの取れた食事の一部として楽しむ:うなぎばかりを大量に食べるのではなく、様々な食品から栄養を摂る中の「ご褒美」として、適量を楽しむようにしましょう。

普段の食事で、緑黄色野菜などβ-カロテンが豊富な食品をしっかり摂っている分には、ビタミンAの過剰摂取を心配する必要はありません。問題となるのは、動物性食品(特にレバーやうなぎ)やサプリメントからのレチノイドの大量摂取です。

 

まとめ:妊婦さんがうなぎを食べる際の注意点

  • うなぎは栄養豊富だが、動物性ビタミンA(レチノイド)と水銀が含まれている。
  • 特に妊娠初期のレチノイドの「過剰摂取」は、赤ちゃんの形態異常リスクを高める可能性があるため注意が必要。
  • うなぎの「肝」はビタミンAが非常に多いため、妊娠中は避けるべき。
  • うなぎの身の部分は、量と頻度を控えめにすれば(目安:月に1~2回、一切れ程度)、リスクを抑えて楽しめる。
  • バランスの取れた食事の一部として、適量を楽しむことが大切。

うなぎは美味しいだけでなく、妊婦さんにとって嬉しい栄養も含まれています。しかし、ご紹介したように、特定の成分の摂りすぎには注意が必要です。特にビタミンAの過剰摂取は妊娠初期にリスクがあるため、量と頻度、そして食べる部位(肝は避ける)を意識して、賢くうなぎと付き合っていきましょう。

全く食べてはいけない、と我慢しすぎる必要はありません。たまのご褒美として、美味しく適量を楽しんでくださいね。もしうなぎを食べる量や、ご自身の食事全体について不安なことや疑問があれば、一人で悩まず、必ずかかりつけの医師や助産師さんに相談しましょう。専門家のアドバイスを聞くのが一番安心です。