臨月の妊婦さんへ贈る、安心して出産を迎えるための過ごし方と注意点

いよいよ出産予定日まであとわずか。赤ちゃんに会える期待で胸がいっぱいな一方、初めての出産の方は特に、陣痛や分娩に対する不安も少なからずあるかもしれませんね。この時期は、心身ともにリラックスして、お産に向けて穏やかに過ごすことが何よりも大切です。

今回は、臨月(妊娠36週0日~妊娠40週未満)の妊婦さんが安心して出産の日を迎えられるよう、この時期に起こりやすい体の変化や、日常生活で気をつけること、そしてお産の兆候について詳しくお伝えします。

 

 

臨月に起こりやすい体の変化と主な症状

出産が近づくと、母体には様々な変化が現れます。よく見られる症状と、その対処法を知っておきましょう。

  • お腹の張り・前駆陣痛:不規則なお腹の張りや、弱い痛みを感じることが増えます。これは本番の陣痛に向けた子宮の準備運動のようなもの。痛みが強くならず、間隔も不規則な場合は前駆陣痛の可能性が高いです。リラックスして様子を見ましょう。
  • 頻尿・尿漏れ:大きくなった子宮が膀胱を圧迫するため、トイレが近くなったり、くしゃみや咳で尿漏れしやすくなったりします。こまめにトイレに行き、おりものシートや尿漏れパッドを活用すると安心です。
  • むくみ:血液循環の変化やホルモンの影響で、手足がむくみやすくなります。塩分の摂りすぎに注意し、足を高くして休んだり、着圧ソックスを利用したりするのも効果的です。マッサージも良いでしょう。
  • 腰痛・恥骨痛:大きなお腹を支えるために腰への負担が増えたり、赤ちゃんが骨盤内に入ってくることで恥骨に痛みを感じたりすることがあります。無理のない姿勢を心がけ、骨盤ベルトを使用するのもおすすめです。
  • 不眠:お腹が大きくて寝苦しい、トイレが近い、出産への不安などから眠りが浅くなることがあります。寝る前に温かい飲み物を飲んだり、抱き枕を使ったりして、少しでもリラックスできる工夫をしてみましょう。
  • おりものの変化:おりものの量が増えたり、粘り気が強くなったりすることがあります。出産が近づくと、血液が混じった「おしるし」が見られることもあります。

Point! こんな症状には注意!

我慢できないほどの強い張りや痛み、規則的な陣痛、破水、大量の出血など、いつもと違うと感じる症状があった場合は、すぐに産院に連絡しましょう。

 

臨月の生活で気をつけること

心穏やかに出産を迎えるために、日々の生活で心がけたいポイントをご紹介します。

 

1. 食事:バランスと体重管理を大切に

出産と産後の体力回復のためにも、栄養バランスの取れた食事は非常に重要です。特に、鉄分やカルシウム、食物繊維を積極的に摂りましょう。一方で、体重が増えすぎると難産のリスクが高まるため、甘いものや脂っこいものの食べ過ぎには注意が必要です。1日3食きちんと食べ、間食は控えめに。便秘予防のために、水分もしっかり摂りましょう。

2. 運動:無理のない範囲で体を動かそう

適度な運動は、体力維持や体重管理、ストレス解消、そして安産にも繋がると言われています。天気の良い日には近所を散歩したり、マタニティヨガやストレッチをしたりするのもおすすめです。ただし、お腹が張ったり、気分が優れない時は無理せず休みましょう。医師や助産師に相談しながら、自分に合った運動を見つけてください。

3. 睡眠:質の高い睡眠で体力を温存

出産には体力が必要です。質の高い睡眠をとり、体力を温存しておきましょう。寝苦しい時は、抱き枕を使ったり、横向きで膝の間にクッションを挟む「シムス位」で寝ると楽になることがあります。寝る前のカフェイン摂取は避け、リラックスできる環境を整えましょう。昼間に眠気を感じたら、無理せず短時間の昼寝をするのも良いでしょう。

4. 衛生:感染症予防をしっかりと

出産が近づくと免疫力が低下しやすくなるため、感染症には特に注意が必要です。手洗いやうがいを徹底し、人混みを避け、十分な休養をとるようにしましょう。入浴は体を清潔に保つだけでなく、リラックス効果も期待できますが、破水している場合は感染のリスクがあるため、シャワーのみにしましょう。

5. メンタルヘルス:リラックスして穏やかに

出産への期待と不安が入り混じる時期ですが、できるだけリラックスして過ごすことが大切です。好きな音楽を聴いたり、読書をしたり、アロマを焚いたりするなど、自分が心地よいと感じる方法で気分転換を図りましょう。不安な気持ちは一人で抱え込まず、パートナーや家族、友人に話を聞いてもらったり、助産師に相談したりするのも良いでしょう。

6. お産の兆候:サインを見逃さないで

いつお産が始まってもおかしくない時期です。お産の兆候をしっかり理解しておきましょう。

  • おしるし:少量の血液が混じったおりもの。お産が近づいているサインですが、すぐにお産が始まるとは限りません。数日かかることもあります。
  • 陣痛:規則的な子宮の収縮による痛み。最初は生理痛のような弱い痛みで、間隔も不規則なことが多いですが、次第に痛みが強くなり、間隔も短く規則的になってきます。初産婦さんの場合、10分間隔、経産婦さんの場合は15~20分間隔になったら病院に連絡するのが一般的ですが、産院によって指示が異なる場合があるので確認しておきましょう。
  • 破水:赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて羊水が流れ出ること。生温かい水が流れ出る感覚があり、自分の意思で止められません。破水したら、陣痛がなくてもすぐに産院に連絡し、指示を仰ぎましょう。清潔なナプキンを当て、入浴やシャワーは避けてください。

7. 入院準備と産後の準備:最終チェックを!

入院バッグの中身はもう一度確認しましたか? 産院の連絡先、保険証、母子健康手帳、診察券、パジャマ、下着、タオル、洗面用具、赤ちゃんの退院時の服など、必要なものが揃っているか最終チェックをしましょう。また、退院後の赤ちゃんの生活スペースの準備や、上の子がいる場合は預け先の確認など、産後の生活に向けた準備も整えておくと安心です。

 

 

パートナーや家族との協力体制も大切

出産は一人でするものではありません。パートナーや家族と、お産が始まった時の連絡方法や役割分担、入院中の家事や上の子のお世話などについて、改めて話し合っておきましょう。陣痛が始まった時に、パニックにならずに冷静に行動できるよう、事前にシミュレーションしておくのも良いかもしれません。周囲のサポートを得ながら、安心して出産に臨める環境を整えることが大切です。

 

まとめ:赤ちゃんとの対面はもうすぐ!

臨月は、ドキドキとワクワクが入り混じる特別な時期です。体調の変化に気を配りながら、無理せずゆったりとした気持ちで過ごしましょう。そして、もうすぐ会える赤ちゃんとの生活を思い描きながら、残りのマタニティライフを楽しんでくださいね。

不安なことや分からないことがあれば、遠慮なく医師や助産師に相談してください。万全の準備と穏やかな心で、素晴らしいお産の日を迎えられることを心から願っています。